無事、関所を通り抜け首都へと向かう。
だが、そろそろ手元に持っているよしのりの欠片も残りわずかとなっていた。
腹が減っては戦はできぬ。
私とて例外ではない。
なにが悲しくてきのこばかり食べねばならぬのだ。

そう思っていた矢先、ちょうど漁村があるのが見えた。
村人たちに気付かれぬよう、気配を殺し、干し魚を順番に毟り取っていく。
あらかた毟り終わり、村の様子を見渡す。
この国の状況を把握するには、このような末端の村を把握するのが一番適している。
見るに村人達は満足に食う事もできず、つつましい生活をしているようだ。
なんとも嘆かわしく思い、獲った魚にかぶりつく。
するとその私の様子を見て一人の子供が走り寄ってきた。

どうやら兵士になりたいらしい。
私の勇姿を見て感動したようだ。

とりあえずその頭では無理だと言っておいた。

村を後にし、しばらく歩いていると広大な河に辿り着いた。
【長江】。
大陸を通る最大の河だ。
そういえば以前、よしのりにこう聞いたことがある。
―元々、この地にはこのような河はなかったという。
しかしある者の手により、一夜にして広大な河が出来上がっていたというのだ。
それがこの長江らしい。
さらに、この大陸で覇権を争う、『魏』、『蜀』、『呉』。
それに連なる第4の勢力がある、と。
しかもそれはたった一人の事を指す呼び名だという。
その者がこの河を作り上げたというのだ。
それを聞いた時、私は全身から血の気が引くのを感じた。
だが所詮きのこの言う事なので無視した。
当然だ。

きのこの戯言などに時間を費やした自分に苛立ちを覚えながらも、
呉の首都【建業】へと向かうのであった。
>次回へ続く。
>閉