
そろそろ収拾がつかなくなってきた。
・・・いや、なんでもない。
件の村を焼き討ちした賊を成敗する為、我先にと長安の城へと急いだ。
皇帝に事の次第を伝え、軍の応援を要請するためだ。
城に着き、城の中に入ろうとすると門番達が勝手に入るな、と言ってきた。
仕方がないので、2〜3人消し去り、勝手に入る。
今の私を止めることはできない。

奥の間まで進むと、中央に偉そうに座っている子供がいた。
どうやらこの子供が今の皇帝らしい。
やたらと朕が、朕が、と言う。
ゆとり教育の弊害か。
この幼き皇帝も時代の流れに逆らえずにいるのだ、と思うと鼻汁が出た。
挨拶もそこそこに、賊の村焼き討ちの件を説明し、軍隊の応援を要請する。
するとニコリと笑みを浮かべ、口を開いた。
朕「犯人お前やん」
この言葉を聞き、愕然とした。
・・・ここまで敵の手が回っていようとは。
皇帝もすでに向こう側についていたのだ。

敵をこのまま生かしておいては危険だ。
瞬時に皇帝の懐に入り、脳天を叩き割った。
怒りにまかせ、頭から足のつま先まで炙ったするめのように引き裂く。

側近にも姿を目撃されたため、胴体をへし折った。
そこまでする必要もなかったが、顔がむかついた。

危険を感じ、すぐに城を離脱する。
なんということだ・・
まんまと敵の罠にかかってしまったという事か。
長安にこのまま留まるのはまずい。
街の外へと逃げる最中、私を呼びかける声がした。

その声のほうを見ると見覚えのある顔だった。
私がこの街に潜ませておいた【よし子】だ。
かくれんぼがどうとか言っていたが、
槍で何回か突き刺すと目が覚めたらしい。
今まで集めた情報を話し出した。

よし子が言うには、この長安にも既に敵の手下が何人か忍び込んでいるとの事だった。
こちらが此処に来た時から既に監視されていたというわけだ。

やはり、当初から感じていた不審な気配は気のせいではなかったか。
今この展開を思いついたとかそういう次元ではなかったのだ。
と、その時。

ただならぬ気配を感じた。
いままでとは比べ物にならないほどの気配だ。
相手に隙を与えぬよう、ゆるり、と振り向く。

その姿を見て驚きを隠せなかった。
敵方が放った凶暴な番犬がこちらの方に近づいてきているではないか。
見た目は子犬でも中身は大人、程の手練だ。
少しでも隙を見せれば喉元を噛み千切られるだろう。
咄嗟によし子をむんず、と掴み番犬に放り投げた。
「今だ!」
番犬がよし子を襲っている間にその脇を駆け抜ける。

我が身を挺して私を逃がした、よし子の犠牲を無駄にはせぬ・・・
とめどなく流れる涙をこらえ、長安を後にした。
>次回に続く。
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