
いい加減、どこに向かっていたのかどうでもよくなってきたが、
なんとか益州の関所の前まで辿り着くことができた。
益州に行くにはどうしてもここを通らねばならぬ。
だが追われる身の私がそのまま関所を通るのは無理だろう。
かといって関所兵を倒すなどという無益な殺生はしたくはない。
その時、以前よしのりとの修業で会得したある術があったのを思い出した。
こういう場面ではもってこいの術だ。
試してみる価値はある。

体内の気を練りながら、木の木陰に内股で歩み寄って行く。



完璧だ。
これで問題なく通過することができよう。

術の効果時間は1分。
それを過ぎると折りたたんだ肉が弾け、元の姿に戻ってしまうのだ。
いそぎ関所へ向かう。
通り過ぎた男の鼻息も荒い。

難なく関所を通り抜け、元の姿に戻る。

ざっとこんなものだ。
なんとたやすい・・
いかに屈強な兵達を配置しようとも無駄骨だ。
まだ私の実力を計り損ねていると見える。
そう思い、呆れながらも益州に潜入する。
だがこれから起ころうとしている事の重大さに、
私自身まだ気づいていなかったのである。

>次回に続く。
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